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ほのぼのショートショート ひげおじさん

第12話「思う」



 

 

ある日、ある時、ひげおじさんは、ふと…………思った。

お金も、地位と名誉も天国には持って行けない。

大統領も、大企業の社長や偉大な哲学者、修行を積んだ高僧や

大金持ちも生きていればいずれ死が訪れる。

死は平等にやって来る。

日々気持ちは揺(ゆ)れる。心の平安を一生保(たも)てる人はいない。

生きているって何だろうと時々ひげおじさんは思う。

一寸先になにが起きるか、生まれたばかりの赤ちゃんも老人にも分からない。

「そうか、生きていれば人間はみんな同じなんだ」とつぶやき。

「限られた時間をどう生きるかと言うことか!」とうなずいたが、

これがたいへん厄介(やっかい)なのだ。

「なかなか思うようには行かない」

「自分の夢の1%でもかなえば満足をする」生きる先々、少し気が楽になる。

ひげおじさんは、なぜかホッとして、ニコッと微笑(ほほえ)んだ。

  

 

 

プロフィール

林 恭三

林 恭三 (はやし・きょうぞう)

日本アニメーション協会 会員